アバクロ銀座撤退の真相と跡地の今|上半身裸モデルの熱狂と現在

アバクロ銀座撤退の真相と跡地の今|上半身裸モデルの熱狂と現在

アバクロ銀座撤退の真相と跡地の今|上半身裸モデルの熱狂と現在の要点を詳しく解説してご紹介します。

アバクロンビー&フィッチが日本初上陸を果たしたのは2009年12月15日のことでした。場所は日本を代表する高級商業地の一等地である中央区銀座6丁目9-15。東京メトロ銀座駅A2出口から徒歩2分、中央通り沿いに建設された地下1階・地上11階建ての専用ビルは、外観から内部に至るまで既存のアパレル店舗の常識を根底から覆す仕様でした。

アバクロ銀座オープン当時、最も世間の度肝を抜いたのが「ストア・モデル」と呼ばれるスタッフの存在です。選りすぐりの肉体美を誇る外国人男性が上半身裸でエントランスに立ち、来店した女性客とポラロイドカメラで記念撮影を行うプロモーションは、連日ワイドショーや情報番組で大々的に特集されました。開店初日にはオープンを待ち望むファン約2,000人が早朝から銀座通りを埋め尽くし、待ち時間は最大で4時間を記録しました。

一歩足を踏み入れると、そこは昼間であることを忘れさせる薄暗い照明と、大音量で鳴り響くダンスミュージックに包まれた異空間。さらに、店内の空調からはブランドの象徴であるシグネチャーフレグランス「FIERCE(フィアース)」が噴霧され、アバクロ銀座店香水の匂いは銀座6丁目の交差点付近にまで漂うほど強烈でした。視覚、聴覚、嗅覚を過剰なまでに刺激してアドレナリンを分泌させる「五感ブランディング」は、若者やトレンドセッターを熱狂させ、初年度の売上は驚異的な数字を記録したのです。

清水 千尋
著者

清水 千尋

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。