丸山明宏と美輪明宏の真実|改名理由と三島由紀夫を魅了した軌跡

丸山明宏と美輪明宏の真実|改名理由と三島由紀夫を魅了した軌跡

丸山明宏と美輪明宏の真実|改名理由と三島由紀夫を魅了した軌跡に関する最新の話題を分かりやすく解説いたします。

バッシングの嵐の中、地方のドサ回りを余儀なくされた丸山明宏の前に現れたのは、炭鉱町や建設現場で汗水垂らして働く労働者たちの姿でした。きらびやかな衣装をまとい、上流階級の恋愛歌を歌う自分に対し、日々の生活を必死に生きる人々との間に生じた絶望的な断絶。その葛藤から生まれたのが、日本音楽史に刻まれる名曲『ヨイトマケの唄』(1965年発表)です。

丸山明宏自らが作詞・作曲を手掛けたこの曲は、過酷な土木工事(地固め作業=ヨイトマケ)に従事しながら、いじめに遭う我が子を深い愛情で育て上げる母親を描いた一大叙事詩でした。発表にあたり、それまでの派手なフリルやメイクを完全に削ぎ落とし、素顔にボロボロの絣(かすり)の着物、裸足という出で立ちでステージに立ちます。全身全霊でシャウトし、土の匂いと母の慈愛を歌い上げる姿に、かつて彼を拒絶した労働者や知識人たちは息を呑み、客席は慟哭の渦に包まれました。

三島由紀夫が戯曲化し、後に深作欣二監督によって映画化された舞台『黒蜥蜴』(1968年)の大成功と並び、『ヨイトマケの唄』は丸山明宏が単なる色物歌手ではなく、人間の深淵を描き出す本物の表現者であることを日本中に証明した歴史的転換点となったのです。

清水 千尋
著者

清水 千尋

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。