「きのこは生が一番おいしい」という思い込みは、現代の食品機能学によって完全に覆されました。しいたけの三大うま味成分の一つであるグアニル酸は、生の状態ではほとんど存在せず、調理の加熱プロセスによって生成されます。
生しいたけを冷凍すると、細胞内の水分が凍結して体積が膨張し、頑丈な細胞壁を内側から破壊します。細胞が壊れた状態で加熱されると、細胞内に閉じ込められていた酵素(リボヌクレアーゼ)とRNAが急速に反応し、グアニル酸が爆発的に生み出されます。冷凍保存によって引き出される旨味の強さは、生しいたけをそのまま調理した場合と比較して約2.5〜3倍に達することが分析データで実証されています。
冷凍時のポイントは、石づき(軸の先端の硬い部分)を切り落とし、カサと軸を使いやすい大きさにカットしてから密閉保存袋に平らに並べることです。調理時は「解凍せず凍ったまま加熱する」のが鉄則です。自然解凍や電子レンジ解凍を行うと、細胞が壊れた隙間から旨味成分を含んだドリップが大量に流出してしまい、食感も著しく損なわれます。凍ったままスープや炒め物に投入することで、溶け出す旨味をすべて料理に閉じ込めることができます。
また、捨ててしまいがちな「軸」の部分は、カサ以上に食物繊維とグアニル酸が豊富に含まれる部位です。石づきだけを除去し、手で縦に細かく裂いてカサと一緒に冷凍ストックしておけば、味噌汁や炊き込みご飯の絶品のだし素材として活躍します。