多くの日本人が信じて疑わない「どんまい=Don't mind」という等式ですが、英語圏のネイティブスピーカーにとっては文法および語用論の観点から大きな違和感を生む表現です。このズレを生む最大の要因は、英語における「mind」という動詞が持つ本来の意味と主語の省略構造にあります。
英語の「mind」は、「〜を気にする」「〜を嫌がる・迷惑に思う」という心理状態を表す動詞です。通常、英語で「Don't mind」と口にすると、文頭の「I」が省略された「(I) don't mind.」と解釈されます。つまり、話者の心境として「私は(あなたの行動を)気に留めていません」「私には関係ありません」という意味になり、落ち込んでいる相手の感情に寄り添う「気に病まないでね」というニュアンスにはなりません。
「どんまい」の語源を辿ると、明治から大正期にかけて日本に野球が導入された際、外国人指導者や選手が使っていた「Don't mind me(私のことは気にしないで)」などのフレーズが短縮され、独自の励まし用語として定着した説が有力視されています。日本国内では「ドンマイ=大丈夫、気にするな」という温かい連帯感を示すスラングへと進化を遂げましたが、本来の英語圏の語感からは乖離してしまったのが実情です。