休刊に至るトラブルがあったとはいえ、『Free & Easy』が日本のメンズカルチャー史に刻んだ功績の大きさは否定できません。1998年の創刊以来、編集長の小野里稔氏が掲げた「ラギッド(Rugged)」というキーワードは、それまでの軟弱なファッショントレンドに対する強烈なアンチテーゼとして機能しました。
同誌が定義したラギッドとは、単なる「汚れた古着」ではなく、長い歳月と過酷な労働に耐え抜いたワークウェア、ミリタリー、アイビースタイル、ヴィンテージデニム、英国靴、アンティークウォッチなどに宿る「男の道具としての機能美」でした。徹底した物撮りと骨太なテキストで構成された歴代特集は、30代から50代の男性を中心に圧倒的な支持を獲得。「オヤジが惚れる本物の名品」というライフスタイル像を確立したのです。
また、同誌の独自性を語る上で外せないのが、平成の歌姫・浜崎あゆみ氏を起用した異色の長期連載「Ayu's Ready」です。武骨な男の牙城であった誌面にトップ女性アーティストがアメカジやバイカースタイルを着こなして登場する企画は、既存のアメカジファンのみならずカルチャー感度の高い若年層へも読者層を大きく広げ、メディアミックス戦略の金字塔となりました。