プジョーのライオンは、時代のデザイントレンドやブランドの立ち位置に応じて姿を変えてきました。矢の上に立つリアルな全身像から始まり、彫刻のような立体造形、抽象的なスタンディングライオン(二本足で立ち上がる姿)へと進化を遂げています。
大きな転換点となったのが2021年2月に発表された第11世代の新ロゴです。それまで数十年にわたり親しまれてきた直立するライオンの全身シルエットを改め、黒い盾の中に咆哮するライオンの頭部を精緻に描いたミニマルなフラットデザインへとフル刷新されました。
この劇的なデザイン変更には、明確な3つの戦略的理由が存在します。
- ブランドの高級化(アップマーケット戦略):大衆実用車ブランドから、質感とデザイン性を重視した「アッパー・メインストリーム」への脱皮。ステランティス(Stellantis)グループ内でより高付加価値なポジションを確立する狙いがあります。
- デジタル環境への最適化:車体のフロントだけでなく、スマートフォン画面、Webサイト、車載インフォテインメントディスプレイ上で視覚的にクリアに見えるミニマリズムを追求しました。
- 原点回帰と歴史への敬意:新デザインは、1960年に登場した名車「404」時代のロゴを現代風に再解釈したものです。長大な歴史を持つブランドとしてのヘリテージを強調しています。
新ロゴの中央に配置されたフロントグリルは、ADAS(先進運転支援システム)用レーダーをエンブレム背面に透過させて内蔵する最新技術も融合しており、造形美とハイテク機能を見事に両立させています。