近年、福士政一の名が一般に広く再認知された大きな要因が、野田サトル氏による大人気漫画『ゴールデンカムイ』です。作中に登場する、金塊の隠し場所を示す暗号が刻まれた「刺青人皮(いれずみにんぴ)」の描写は、福士の研究とコレクションから強いインスピレーションを受けていることで知られています。
作品内ではサスペンスフルな争奪戦のアイテムとして描かれていますが、皮膚を鞣(なめ)して平面標本や立体標本として残す技術的リアリティは、福士が遺した記録や標本形態と驚くほど重なります。
ポップカルチャーを通じて福士の業績が知られるようになったことで、単なる怪奇譚ではなく、失われゆく江戸・明治の身体装飾美術を記録した文化人類学的・皮膚病理学的な先駆者としての再評価が進んでいます。