ECサイトの普及により、近年は海外製の安価な歩行補助カートが手軽に購入できるようになりました。しかし、ここには専門家が警鐘を鳴らす重大な落とし穴が存在します。
ネット通販で安価なカートを即買いしてはいけない理由
ネット上で1万円前後で販売されているノーブランドの製品には、日本の安全基準(SGマークなど)を満たしていないものが散見されます。特に多い不具合が、ハンドブレーキのワイヤーの緩みやすさと、下り坂でのフレーム剛性不足です。体重を預けた瞬間にフレームがたわみ、接合部が破断して大事故に至った事例も報告されています。 また、福祉用具の生命線である「高さ調整」が3段階程度しかできず、使用者の肘の角度(30〜40度の軽度屈曲位)にミリ単位で合わない製品は、慢性的な肩こりや腰痛、猫背の助長を引き起こします。
「高機能=万能」ではない身体適合の罠
「一番高くて多機能なものを買えば安心」という考え方も極めて危険です。例えば、パーキンソン病や脳梗塞の後遺症がない軽度の足腰の衰えに対して、前腕支持型の大型歩行車を与えてしまうと、本来使えるはずの体幹筋や腕の支持筋を使わなくなり、かえって急速な廃用症候群を招く恐れがあります。本人の残存能力を最大限に引き出す「必要十分なサポート」を見極めることが、リハビリテーション工学における鉄則です。