「法務大臣は死刑のハンコを押す地味な役職」という不用意な発言。これにより大臣辞任へと追い込まれた過去は、葉梨康弘氏にとって政治家人生最大の挫折だった。だが、失意のまま消え去る男ではなかった。
法務省のトップを退いた後、彼は衆議院の委員会活動や党内の実務作業へ愚直に没頭した。警察庁出身というバックボーンを生かし、刑法改正やサイバー犯罪対策、入管法改正といった難解な法案の条文修正において、与野党の折り合いをつける「黒衣」としての手腕を遺憾なく発揮した。失言の痛手は深かったが、政策立案能力と法案審査の実務において、彼に代わる人材が党内に乏しいこともまた事実だ。この実務的な信頼こそが、永田町での再起を支える基盤となっている。