出演者の不祥事に伴い、最も重い代償を払わされるのは制作現場だ。ピエール瀧の逮捕時、放送中だったNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』は急遽代役を立てて過去の放送回の再編集を余儀なくされた。過去の出演作が並ぶNHKオンデマンドでは配信停止措置が相次ぎ、権利処理と損害賠償を巡る現場の混乱は極限に達した。
一方、映画産業では異なる判断も下された。白石和彌監督の映画『麻雀放浪記2020』は、東映が「作品に罪はない」としてノーカットでの劇場公開を決断した。表現物そのものを封印すべきか、それとも個人の犯罪と創作物は切り離して評価すべきか。この議論は、現在も映像ビジネスにおける大きな分水嶺となっている。