「パソコンを乱暴に扱った覚えもないのに、なぜ突然動かなくなるのか」。ユーザーが抱くこの強烈な疑問に対し、都内の大手法人向けIT資産管理会社のアナリストは次のように語ります。「ユーザーの多くは『壊れた』と直感しますが、実情はユーザー自身が無意識に押したショートカットキーや、OSのアクセシビリティ支援機能が意図せず発動したことによる『正常な挙動の食い違い』がほとんどです」。
日常業務の中でテンキーから数字が打てない理由として、圧倒的多数を占めるのが「NumLock(数値ロック)の解除」と「マウスキー機能の有効化」です。フルサイズキーボードのテンキー領域には、数字を入力する役割のほかに、カーソル移動(矢印キー)や「PageUp」「PageDown」「Home」「End」といった画面制御を行う二重の役割がプログラムされています。NumLockがオフになると、物理キーをいくら押しても内部的には矢印キーとして処理されるため、画面上には数字が1文字も表示されなくなります。
さらに見落とされがちな落とし穴が、Windowsに標準搭載されている「アクセシビリティ(簡単操作)機能」の干渉です。Shiftキーを連続で5回押したり、特定のショートカットキーを無意識に押下したりした際、テンキーでマウスカーソルを操作するモードへ勝手に切り替わってしまう事例が多発しています。この状態に陥ると、テンキーを押しても数字は一切入力されず、マウスポインターがわずかに画面上を這うだけの状態となり、ユーザーに「深刻な故障」と誤認させる最大の要因となっています。