物語が終盤に向かうにつれ明かされた黒い球体の正体と、宇宙規模の裏設定は読者に強烈なインパクトを与えた。ガンツシステムは神のような超高度文明の地球外生命体が、他星からの侵略を知らせるために人類へ送信したデータに基づき、日本の兵器メーカーが工業化したものだったという設定だ。
なぜ黒い球体は人間の命を100点というポイントで数値化し、不条理なゲームとして運用したのか。それはシステムを運用する人間側のエゴと、死者をデジタルデータとして復元・転送する「魂の物質化」という概念が複雑に絡み合っていたからだ。死んだはずの人間が複製され、何度でも戦場へ送り込まれるシステムは、倫理観の崩壊と生命の価値を問いかける強力なテーマ性を秘めている。
カタストロフィ編で描かれた真理の部屋における「神のような存在」との対話は、人間の尊厳や命の軽さを提示し、多くの伏線を一気に収束させた。未だファンの間で議論が続く無数のパラレルな転送データやメモリ管理の謎は、本作の持つ底知れぬ奥行きを物語っている。