この規格外の剣は、なぜ生まれたのか。その誕生には老境の鍛冶屋ゴドーが抱いていた皮肉と職人としての意地が深く関係しています。
領主から「竜(ドラゴン)をも一刀両断できる剣を打て」と命じられたゴドーは、権力者たちの気まぐれと見栄に嫌気がさしていました。現実には存在しない空想の怪物に対して、ゴドーは「本気で竜の硬度と巨体を叩き割るなら、こうするしかない」という反骨精神から、人間には到底扱えない巨大な鉄の塊を打ち上げました。結果として領主の怒りを買い、ゴドーは山奥へと落ち延びることになりますが、皮肉にも数十年後、人間を超越した使徒=本物の怪物を討ち倒す唯一無二の武器として、ガッツの手に渡ることになったのです。
英語圏における「ドラゴンころし」と名言の翻訳表現
グローバル展開されているコミックおよびアニメにおいて、この名フレーズと武器名はどのように英訳されているのでしょうか。ドラゴンころし 英語表記は「Dragon Slayer」とストレートに訳されていますが、冒頭のモノローグは以下のように極めて文学的に表現されています。
"It was too big to be called a sword. Massive, thick, heavy, and far too rough. Indeed, it was like a heap of raw iron."
「a heap of raw iron(剥き出しの鉄の塊)」という表現は、三浦氏が込めた「荒々しく洗練されていない暴力性」を完璧に捉えており、北米をはじめとする海外のダークファンタジーファンからも絶大な支持を獲得しています。