ネット上の旅行コミュニティやSNSでは、「トルコは世界有数の親日国だから一人旅でも安全」という言説が散見されます。エルトゥールル号遭難事件以来の歴史的絆や、現地で日本人旅行者に対する温かい歓迎を受ける場面が多いのは事実です。しかし、「親日的な国民性」と「犯罪リスクの多寡」を混同することは、防犯上極めて致命的な盲点となります。
犯行に及ぶ犯罪者や薬物常用者、孤立した環境で好機を伺う略奪者にとって、相手が日本人であるか否かは関係ありません。むしろ「日本人は裕福で、治安の良い社会で育っているため警戒心が薄く、反撃の可能性が低い」という格好のターゲットとして認知されている現実を冷徹に直視する必要があります。
また、ネット上では「ゼミ渓谷は封鎖されて立ち入れない」という噂が流布した時期もありましたが、現在も渓谷自体は開放されています。現地住民の多くは事件に対し深い悲しみと謝罪の念を持ち続けており、日本人観光客を守ろうとする市民意識は高いものの、無防備な個人行動を肯定する理由にはなりません。