「とにかく寝ようと焦れば焦るほど、交感神経が優位になって心拍数が上がっていくんです」。佐藤さんは当時の地獄のような状況をそう振り返る。仕事のプレッシャーから発症した彼の睡眠障害は次第に悪化し、就寝時刻が近づくだけで強烈な予期不安に襲われる悪循環に陥っていた。
転機が訪れたのは、睡眠専門外来の門を叩いたことだった。処方薬の量をむやみに増やすのではなく、薬に頼らない身体と精神のコンディショニングへシフト。医師の指導のもとで睡眠の質を段階的に引き上げていった結果、数ヶ月後には「布団に入って15分以内に自然と落ちる」という本来の感覚を取り戻した。長年の呪縛から解き放たれた瞬間の開放感は、言葉にできないほど大きかったという。