この劇的な色の変化を担っているのが、赤色色素であるヒポスドール酸と、オレンジ色色素のノルヒポスドール酸という2つのノンベンゼノイド系芳香族化合物だ。無色透明な分泌液が空気中の酸素に触れると、まずヒポスドール酸が生成されて鮮やかな赤やピンクを呈する。
さらに時間が経過して重合が進むと、ノルヒポスドール酸をはじめとする複合ポリマーへと変化し、茶褐色から黒っぽい膜となって固まる。この段階的な化学変化により、カバの体表面は常にコーティングされた状態が保たれる。まさに自然が生み出した無駄のないケミカルリアクターだ。