軽井沢を訪れた旅行者が、名所旧跡やアウトレットモールと並んで必ず立ち寄る場所として挙げるのがツルヤ軽井沢店です。流通業界の視点から見ても、一地方スーパーがこれほど広域から強力な集客力を持ち続ける事例は極めて稀と言えます。
この現象の根底には、軽井沢という土地柄が育んだ「食への高いこだわり」があります。古くから避暑地として政財界人や文化人が別荘を構えてきた軽井沢では、日常的に消費される食材に対しても極めて高いクオリティが求められてきました。ツルヤはその期待に応えるべく、契約農家から仕入れる新鮮な高原野菜や信州果実、さらには化学調味料を極力使わないプライベートブランドの開発に心血を注いできた経緯があります。
観光客の購買心理を分析すると、旅先での「お土産選びの失敗を避けたい」という防衛本能と、「地元の人々が日常的に愛用している本物を手に入れたい」という探索欲求が見事に合致しています。箱入りの観光用菓子よりも、ツルヤのロゴが入った上質なジャムや調味料の方が、贈られた側にも「センスの良い実用的な信州土産」として高く評価されるカルチャーが定着しました。