キティのビジュアルは、誕生時から現在に至るまで不変であったわけではありません。時代ごとの社会背景やファッショントレンドを貪欲に吸収し、時にはファンからの直接のフィードバックを反映しながら大胆なフルモデルチェンジを繰り返してきました。
1974年、初代デザイナーの清水侑子氏によって誕生したキティは、翌1975年発売の小さなビニール製がま口「プチパース」で世に出ました。この当時の意匠は、横向きに座り、青いオーバーオールを着て太い黒の輪郭線で描かれた、極めて素朴なアメリカンカントリー調のイラストでした。
転機が訪れたのは1980年代初頭です。サンリオ社内でもキャラクターのライフサイクル終焉が囁かれる中、担当を引き継いだ山口裕子氏は、全国のサンリオショップを行脚し、ファンへの直接聞き取り調査を敢行しました。そこで得た「毎日同じ服でつまらない」「もっとおしゃれなキティが見たい」という生の声を反映し、クラシックな青のオーバーオールを脱ぎ捨て、流行の洋服を着せる試みをスタートさせました。さらに1987年には、それまで絶対的ルールとされていた黒いアウトライン(輪郭線)を完全に撤廃し、ふんわりとしたパステル調のタッチを導入するなど、業界の常識を覆すビジュアル革命を成し遂げました。
1990年代には女子高生やギャル層の熱狂的な支持を集めた「カオハナシリーズ」やピンクキルトデザインが登場し、いわゆる「キティラー」現象が社会現象化しました。そして2026年の50周年記念イヤーを経て2026年に至る現代では、メタバース空間に最適化されたデジタルボクセル調イラストから、3DCG、Y2Kリバイバルを取り入れたネオンカラー調まで、表現の裾野を爆発的に広げています。