「大学校を卒業しても高卒扱いになるのではないか」という不安は、進学相談の現場で極めて頻繁に聞かれる懸念です。この学歴問題の鍵を握っているのが、文部科学省所轄の独立行政法人である大学改革支援・学位授与機構(旧称:学位授与機構)です。
本来、学校教育法上の大学以外は「学士」の学位を単独で授与する権限を持ちません。しかし、同機構が「大学の学士課程と同等以上の水準を有する」と認めた認定専攻科・教育課程を修了し、機構の実施する審査(学修成果のレポート審査および試験)に合格することで、正式に学士の学位取得が可能となります。
このスキームにより、以下の主要省庁大学校の長期課程修了者は、一般大学の卒業生と完全に同等の「学士」を獲得できます。
- 防衛大学校(本科):学士(人文科学、社会科学、理学、工学)
- 気象大学校(大学部):学士(理学)
- 海上保安大学校(本科):学士(海上保安学)
- 水産大学校(本科):学士(水産学)
- 職業能力開発大学校(応用課程修了者):学士(生産技術)
この制度により、卒業後の学歴は国際的にも「Bachelor(学士)」として通用し、東京大学大学院や京都大学大学院をはじめとする一般大学の大学院修士課程・博士課程への進学資格も完全に認められます。法的には「大学卒業」という呼称ではなく「学士取得(修了)」となりますが、大学校の学歴扱いにおいて、学位授与機構を通じた学位取得者は一般企業の採用試験でも大卒区分として扱われます。
ただし、注意しなければならないのは、地方自治体の農業大学校や民間企業が設立した大学校の多くは、この認定を受けていないという事実です。その場合、教育年数がどれほど長くとも学歴は「高卒」または専門学校と同等の「専門士」にとどまるため、進路選択における事前確認が生命線となります。