調理中の「ボンッ」という大きな音とともにレンジ庫内へ飛び散る卵。この現象は単なる加熱のしすぎではなく、卵特有の構造とマイクロ波の性質によって引き起こされる突沸(急激な沸騰現象)が原因です。
卵の黄身は薄い「卵黄膜(らんおうまく)」という膜で包まれています。電子レンジから照射されるマイクロ波は食品内部の水分を直接振動させて発熱させるため、黄身の内部温度は外側よりも急速に上昇します。その結果、内部の水分が気化して1,000倍以上の体積を持つ水蒸気へと変化しようとしますが、頑丈な卵黄膜によって密閉されているため逃げ場を失い、内部圧力が限界に達した瞬間に膜を突き破って破裂します。
独立行政法人国民生活センターや家電メーカー各社の注意喚起資料でも、殻付き卵だけでなく「殻を割った生卵であってもそのまま加熱すれば爆発する危険性が極めて高い」と明記されています。安全に調理するためには、物理的に蒸気の逃げ道を確保する工程が不可欠です。