検査結果を受け取った際、多くの人が最初に「全検査IQ(FSIQ)」の数値に目を奪われがちです。しかし、発達支援の現場において最も重要視されるのは、全検査IQ(FSIQ)の数値そのものよりも指標間のディスクレパンシー(差・凹凸)です。
例えば、全検査IQが100前後の標準的な数値であっても、言語理解指標(VCI)が120で処理速度指標(PSI)が80というケースがあります。この場合、頭の中では高度で豊かな思考が展開されているにもかかわらず、手先を動かして紙に書く作業が追いつかず、「頭の回転に体が追いつかない」という強い葛藤やフラストレーションを抱えやすくなります。
また、ワーキングメモリ指標(WMI)が低めの場合は、口頭で一度に複数の指示を出されると記憶からこぼれ落ちてしまうため、視覚的なメモやチェックリストの提示が有効な支援策となります。各数値の平均値は100(標準偏差15)に設定されており、約85〜115の間に全人口の約68%が収まります。指標間の差が15〜20以上開いている場合は、日常生活で特有の負荷がかかっているサインと捉え、環境側の調整を考える必要があります。