口が開きっぱなしになり激痛が走ると、とっさに手で顎を押し上げたり、力任せに引っ張ったりして治そうとする人がいます。しかし、顎が外れた自分で戻すリスクは想像以上に高く、医療現場でも強く警告されています。
顎の関節が本来の位置から外れると、周囲の咀嚼筋(咬筋や側頭筋など)が防御反応として強く緊張・痙攣を起こします。この状態で無理な力を加えると、筋肉の肉離れや関節包の損傷、さらには下顎骨の骨折や神経の圧迫を引き起こす恐れがあります。また、中途半端な力で押し込むことで関節の軟骨(関節円板)を挟み込み、元に戻せなくなるだけでなく、二度と口が正常に動かなくなる後遺症を残すリスクさえあるのです。
発生時の顎関節脱臼応急処置としては、以下のステップを徹底してください。
まず何よりも「顎を動かそうとしないこと」です。口が閉じないことで唾液が喉に溜まりやすくなるため、うつむき加減の姿勢を取り、タオルやティッシュを口元に当てて唾液を外に吐き出せるようにします。頭部から下顎にかけてタオルや三角巾、バンダナなどを下から軽く巻き、顎がこれ以上下に下がらないよう優しく固定して速やかに医療機関へ向かいましょう。