国の貴重な外貨獲得源である観光業においても、大きな方針転換が続いています。ブータン政府は長年「高付加価値・低負荷」を掲げ、環境と文化を守るために旅行者から1日あたり一定の滞在税を徴収してきました。しかし、コロナ禍明けに導入されたブータン観光税(SDF:持続可能な開発料)の大幅な引き上げ(一時は1泊あたり200米ドル)は、外国人観光客の激減を招き、国内の旅行会社やホテル産業に大打撃を与えました。
観光産業の冷え込みを受け、政府は税額を減額する緩和措置を講じるなど軌道修正を余儀なくされています。観光立国としてのブランド維持と外貨獲得のバランスをどう取るかは、現在も試行錯誤が続いています。伝統を守るための規制が、結果として国民の生活基盤を圧迫するという、ブータン経済発展の課題が如実に表れた事例です。