では、体内の短鎖脂肪酸産生能を最大化するには何をどう食べれば良いのか。鍵を握るのは、短鎖脂肪酸の直接の原料となる水溶性食物繊維とレジスタントスターチ(難消化性デンプン)の戦略的摂取です。
日本人の食物繊維摂取量は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」で推奨される1日あたり20〜21g以上に対し、平均で14〜15g程度と恒常的な不足状態にあります。しかも問題なのは、摂取している食物繊維の大半が野菜サラダ(キャベツやレタス)などの「不溶性食物繊維」に偏っている点です。不溶性食物繊維は便のカサを増すには役立ちますが、腸内細菌による発酵率は低く、短鎖脂肪酸の大量産生には繋がりません。
短鎖脂肪酸を効率よく自生させるための、実践的な食事リストと食べ方のルールは以下の通りです。
- もち麦・大麦(β-グルカン):白米に2〜3割混ぜて炊くだけで、腸内細菌の極上エサとなるβ-グルカンを大量補給。朝食に摂ると昼以降の血糖値上昇も抑える「セカンドミール効果」を発揮。
- 海藻類(アルギン酸・フコイダン):わかめ、めかぶ、もずく。ぬめり成分が強力な発酵原料となり、特に酢酸とプロピオン酸の産生をブーストさせる。
- 冷やした主食(レジスタントスターチ):おにぎりやポテトサラダのように、一度加熱したデンプンを冷やすことで小腸で消化されにくくなり、大腸に届いて酪酸菌のエサに変化する。
- ごぼう・玉ねぎ・にんにく(イヌリン):フラクトオリゴ糖とイヌリンを豊富に含み、善玉菌であるビフィズス菌を爆発的に増殖させる。
- ぬか漬け・納豆(プロバイオティクス):外から酪酸菌(宮入菌など)や納豆菌を補給し、腸内で水溶性食物繊維を発酵させる「作業員」を補充する。