耳にするシチュエーションによって意味が180度激変する謎の単語「シャンコ」。その正体を端的に整理すると、日本の特殊な業界文化が生み出した「職人世界の連結金具(シャックル)」と「夜の歓楽街の儀式(シャンパンコール)」という、まったく異なる2つのルーツに行き着きます。
工事現場やプラント工場で飛び交う「シャンコ」は、クレーン等安全規則に定められた玉掛け用連結金具であるシャックルの隠語・愛称です。職人の手袋越しでも素早く指示を飛ばすため、3音のリズムとして定着しました。一方で、若者文化やSNSを介して広まった「シャンコ」は、ホストクラブで高額なボトルを注文した際にホスト総出で歌い踊るシャンパンコールの略称です。同じ日本語でありながら、一方は鉄骨と命を預かる泥臭い現場のツール、もう一方はきらびやかな夜の承認欲求を象徴するエンターテインメント装置という、極端な二面性を宿しています。