玄関前で振るお清めの塩の使い方と順番!胸背中足元の作法と真相

玄関前で振るお清めの塩の使い方と順番!胸背中足元の作法と真相

玄関前で振るお清めの塩の使い方と順番!胸背中足元の作法と真相にまつわる最新トピックを分かりやすく発信ます。

なぜ葬儀の後に塩を撒くのか。この習慣の源流は仏教ではなく、日本古来の神道(しんとう)の死生観にあります。『古事記』の神話において、伊弉諾尊(イザナギノミコト)が亡き妻の伊弉冉尊(イザナミノミコト)を追って黄泉の国(死者の世界)へ赴き、変わり果てた妻の姿を見て逃げ帰った際、橘の小門の阿波岐原で海水に浸かって体を洗い清めた「黄泉帰り(よみがえり)の禊祓(みそぎはらえ)」が起源です。

海水の強力な殺菌力と浄化力、そして結晶化した塩が持つ防腐作用は、太古の人々にとって生命力を再生させる神聖な物質として認識されていました。神道における「死」は、単なる肉体の停止ではなく、周囲の生命エネルギーを衰退させる「穢れ(気枯れ=気力が枯れ果てる状態)」と定義されます。死そのものを悪と断じるのではなく、死に伴って生じる精神的な動揺や共同体の活力低下を祓い清め、日常の秩序へと復帰させるための触媒として塩が用いられてきた経緯があります。

中世から近世にかけて神仏習合が進む中で、神道の禊の概念が民間信仰と混ざり合い、いつしか「仏式の葬儀の後にも塩を撒いて清める」という日本独自のハイブリッドな慣習が一般庶民の間に定着しました。今日の葬儀・通夜のマナーと真相を掘り下げると、本来の仏教教義とは無関係な民俗儀礼が、商業化された葬祭ビジネスの中でパッケージ化されて残存している実態が浮かび上がってきます。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。