ネット上の掲示板やSNSで頻繁に交わされる「ケラチンシャンプーは効果なし」という言説。この噂の真相を探ると、製品自体の品質不良というよりも、毛髪の構造に対する誤認と過度な広告宣伝が生んだギャップが浮き彫りになってきます。
人間の髪の約80〜85%はケラチンと呼ばれるタンパク質で構成されています。日々のドライヤー熱、紫外線、パーマやカラーの薬剤処理によってこのケラチンが流出すると、髪の内部は空洞化し、ハリやコシが失われて湿気によるうねりやパサつきが進行します。ケラチンシャンプーの本来の役割は、この失われたタンパク質を毎日の洗髪を通じて毛髪内部とキューティクルへ補い、髪の密度を高めることにあります。
しかし、ここで多くのユーザーが陥る決定的な誤解が「髪質改善=縮毛矯正のようなストレート効果」という期待です。サロンで行われる還元剤とアイロン熱を用いた縮毛矯正は、毛髪内部のシスチン結合を化学的に切断・再結合してクセを伸ばします。対して、市販のシャンプーやトリートメントに配合されるケラチンは、あくまでダメージホールを埋める「補修材」に過ぎません。毛髪の先天的なくせ構造そのものを直毛へと変形させる力はないため、縮毛矯正並みの劇的なストレート効果を求めて購入した層から「うねりが改善しない=効果がない」と切り捨てられてしまう背景があります。
さらに深刻なのが、「ケラチンの過剰蓄積による硬化現象」です。ダメージがそれほど深くない健康毛や、もともと髪が太く硬い剛毛の人が高濃度のケラチン製品を連日使用すると、タンパク質が髪の表面および内部に過剰に吸着します。その結果、柔軟性が失われ、針金のようにゴワゴワとした質感やキシキシとしたきしみ感を引き起こします。良かれと思って補給した成分が、皮肉にも手触りの悪化という形で「効果がないどころか悪化した」と知覚されてしまうのです。