インタビューや公の場で見せる素顔は、驚くほど気負いがなくシンプルだ。自分を大きく見せようとする野心や過度な自己主張とは無縁であり、ただ役柄という一人の人間を理解し、その人生を肩代わりすることだけに集中している。その徹底した無私のアプローチが、作品の中で生きるキャラクターに生々しい現実味を与えるのだ。
時代がどんなにスピーディーに変化し、消費されるコンテンツが溢れかえろうとも、スクリーン上で彼女が吐き出す深い吐息や一瞬の沈黙には、人の心を立ち止まらせる力がある。次はどんな役で、どんな人間の痛みを背負って私たちの前に現れてくれるのか。スクリーンの向こう側に広がる豊かなドラマを信じさせてくれる稀代の女優から、私たちはこれからも目を離すことができない。 (出典: 池脇 千鶴(Yahoo!ニュース))