安価で汎用性が高いからと安易に横置きした結果、数ヶ月後に無残に変形した棚板を見てため息をつく利用者は少なくありません。この現象は利用者の使い方の問題だけではなく、製品の構造力学的な基本設計に根深い原因があります。
一般的なカラーボックスの芯材には、木材チップを接着剤で圧縮成形したパーティクルボードやMDF(中質繊維板)が使われています。これらの素材は垂直方向からの圧縮力にはある程度の耐性を示すものの、水平方向に渡された板に上から荷重がかかる「曲げモーメント」に対しては極めて脆弱です。縦置き時には約25cmから28cmの短いスパンで荷重を分散できていた仕切り板が、横置きに倒した瞬間に「約40cmものスパンを持つ水平の棚板」へと役割を変えてしまいます。スパンが長くなればなるほど、板の中央部にかかる曲げ応力は二乗に比例して増大するため、本を数冊並べただけでも経年で目に見えるたわみが生じるのです。
さらに深刻なのが寸法のミスマッチです。一般流通している3段カラーボックス(外寸:幅約42cm×奥行約29cm×高さ約88cm)を横置きにした場合、1コマあたりの内寸は「幅約27cm×高さ約27.5cm」前後になります。ここで問題となるのが、書籍や書類の標準規格です。
一般的なオフィス書類やクリアファイル、子どもの図鑑や大型絵本に広く採用されているA4サイズ(短辺21.0cm×長辺29.7cm)を立てて収納するには、最低でも31cm以上の内寸高さが求められます。しかし横置き時の内寸高さ27.5cmでは、A4ファイルが約2cm以上つっかえてしまい、物理的に収まりません。「書類整理のために横置きにしたのに、平積みにするしかなく無駄なデッドスペースが生まれた」という後悔の声は、この数センチの寸法差を認識せずに導入した現場で日常茶飯事となっています。