野外で飛翔している姿を見ただけでは、クロスジギンヤンマと一般的なギンヤンマを瞬時に見分けるのは難しく感じるかもしれません。しかし、観察ポイントさえ把握しておけば識別は明快です。
識別における最大の決め手となるのが、名前の由来にもなっている胸部側面の「黒条(こくじょう=黒い筋)」の有無です。
クロスジギンヤンマの胸部側面には、黄緑色の地色の上に2本の太く鮮明な黒いラインがくっきりと走っています。対するギンヤンマの胸部側面にはこの黒条が存在せず、全体が一様な明るい黄緑色(ライトグリーン)で覆われています。止まっている個体はもちろん、低空を旋回している際にも、胸元の黒い模様の有無で高精度に見分けることが可能です。
また、他の類似種であるオオギンヤンマやマルタンヤンマとの比較においても独自の特徴が際立ちます。南方から飛来するオオギンヤンマは腹部第2節の斑紋パターンが異なり体躯が一回り巨大である点、夕暮れ時に活発化するマルタンヤンマは胸部が一様に褐色である点などから、胸部に鮮烈な2本ラインを持つクロスジギンヤンマとの混同は避けられます。