チシヤに「死亡説」が根強く囁かれる理由は、終盤における二つの絶体絶命の危機が強烈なインパクトを残したためです。
一つ目の山場は、知略戦の極致となった「ダイヤのキング(♦K)」こと九頭龍慧一との『てんびん(美人投票)』です。選択した数字の平均値の0.8倍に近い数字を当て続けなければ、上から高濃度の硫酸が降り注ぐという非情なルールの中、チシヤは自らの頭脳と心理誘導を駆使して戦いました。この戦いは単なる知恵比べではなく、「人間の命に優劣はあるのか」という思想のぶつかり合いであり、チシヤは自らの命をチップとして差し出す極限状態に追い込まれました。最終的に九頭龍が自らの信念に従って選択を放棄し自滅したことで、チシヤは薄氷の勝利を収めます。
そして二つ目が、ファンの間で最大の衝撃を与えたニラギ(韮木傑)による銃撃事件です。満身創痍のニラギがアリスやウサギ(宇佐木柚葉)に向けてライフルを構えた瞬間、それまで冷徹に他者を利用してきたはずのチシヤが、突如として身を挺してウサギを庇い、銃弾をその身に受けたのです。
胸や腹部を撃ち抜かれ、大量の血を流して倒れ込むチシヤの姿は、誰もが「即死」「致命傷による脱落」を想起させる凄惨なものでした。その後のハートのクイーン(ミラ)戦の間も倒れたままであったため、初見の読者や視聴者の多くが「チシヤはここで死亡した」と誤認する要因となりました。