長野県立美術館を語る上で絶対に外せないのが、巨匠・東山魁夷の代表作約970点(寄贈品含むスケッチや本画)を誇る「東山魁夷館」です。こちらの建築設計は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)新館や東京国立博物館法隆寺宝物館で知られる建築家・谷口吉生氏によるもので、内藤廣氏設計の本館と見事な対話を奏でています。
館内では、信州の山河に魅了された東山魁夷が描いた『緑響く』や『白馬の森』、静謐な祈りが込められた『唐招提寺御影堂障壁画』の試作・スケッチなどが、年間数回の展示替えを通じて順次公開されています。展示室の落ち着いた照明と研ぎ澄まされた空間構成は、鑑賞者を深い思索の旅へと誘います。
一方、本館のコレクション展では、菱田春草をはじめとする信州ゆかりの作家たちの日本画や洋画、工芸品、さらには現代アートまで多彩な展示内容を展開。信州の豊かな自然や歴史的風土がいかに芸術家たちの感性を刺激してきたのかを体系的に知ることができる構成となっており、企画展と合わせて鑑賞することで地域の文化的多様性を深く実感できます。