一時代を築いた日本クロスビデオがなぜ倒産・消滅に追い込まれたのか。その理由は単なる経営不振にとどまらず、メディア変革期における中小映像メーカー共通の構造的リスクに起因しています。
主たる要因として挙げられるのは、1990年代末から2000年代初頭にかけて起きた「メディアの世代交代(VHSからDVDへ)」です。当時、VHSテープのダビングとパッケージ印刷は小規模な設備と比較的安価な初期投資で可能でした。しかし、DVDのオーサリングおよびプレスラインの構築には数千万円単位の初期投資が必要となり、中小レーベルには極めて重い財務負担となりました。
さらに、業界内の審査基準の厳格化と流通機構の集約が進んだことも決定打となりました。大手ディストリビューターによる独占が進むにつれ、小規模な独立系メーカーの作品はレンタル店や一般書店の棚から締め出されていきました。制作コストの増大と販路の喪失という二重苦に直面した結果、資金繰りがショートし、市場からの撤退を余儀なくされたというのが経緯の真相です。