彼の根底にあるのは、やはり劇場という空間で培われた肉体性だ。映像作品での繊細なクローズアップに耐えうる演技を見せる一方で、舞台上では劇場の隅々にまで届くエネルギーを放つ。この二面性を自在にコントロールできる役者は、そう多くはない。
舞台で鍛え上げられた発声と、空間における自身の立ち位置を客観視する能力。それが映像の現場でも生かされている。カメラがどこから自分を狙っているのか、そのカットで自分が果たすべき役割は何なのか。彼は常に現場全体を俯瞰しながら、最適解の芝居を差し出してくるプロフェッショナルだ。