葬儀の場で副葬品として写真がダメとされる理由には、大きく分けて「民俗学的な心理的タブー」と「親族間の感情的な配慮」という2つの側面が存在します。
古くから日本には、生きている人の姿が写ったものを遺体と共に火葬すると「死者にあの世へ連れて行かれる」「一緒に焼かれることで寿命が縮む・病気になる」といった迷信が存在してきました。仏教や神道などの宗教的教義において明確に禁じられている教理はありませんが、死生観や言霊信仰が根強く残る地域では、強い忌み言葉や不吉な前兆として受け止められてきた経緯があります。
もうひとつの決定的な要因が、家族写真を棺に入れることがNGとされる親族間のトラブルです。たとえ喪主自身が気にしなくても、参列している親戚や高齢の親族の中に「縁起が悪い」と強く反対する人がいる場合、火葬の直前に不要な軋轢を生む原因になりかねません。写っている本人が「自分の写真を一緒に焼かれるのは怖い」と感じるケースもあるため、配慮が欠かせない要素となっています。