モアイ(Moai)という言葉は、現地ポリネシア語のラパ・ヌイ語で「モ(未来・生存)」と「アイ(存在する・姿)」が組み合わさったものであり、直訳すれば「未来に生きる祖先」を意味します。10世紀から16世紀頃にかけて、各部族の首長や偉大な権力者が亡くなった際、その霊力を現世に留め置くために建造されました。
ポリネシア社会には「マナ(Mana)」と呼ばれる超自然的な霊力・威厳の概念が存在します。首長が死ぬと、そのマナを凝灰岩の巨像に宿らせ、祭壇(アフ)の上に村落を見下ろす形で設置しました。モアイの視線が集落の内側を向いているのは、自らの子孫と領土にマナを注ぎ、豊穣と繁栄をもたらす守護神としての役割を担っていたためです。
さらに、多くの人がイメージする「灰色で目のないモアイ」は、長い年月の風化によって装飾を失った姿に過ぎません。本来の完全体モアイには、以下の決定的な装飾が施されていました。
- 白サンゴと黒曜石の「目」:祭壇に設置された最後の段階で、白サンゴの白目と黒曜石(または赤色凝灰岩)の瞳が嵌め込まれました。目が入れられることで初めてモアイにマナが宿り、「開眼」したと伝えられています。
- 赤い帽子「プカオ」:火山の噴火口「プナ・パウ」から切り出された赤色凝灰岩で作られた円筒状の巨石。これは帽子ではなく、当時の部族の高貴な身分を象徴する「結髪(トップノット)」を表現したものです。