小林誠氏のキャリアは、模型雑誌での鮮烈な作例発表から始まり、アニメーション業界のトップランナーへと駆け上がった極めて稀有な歩みを持っています。1980年代前半、月刊『ホビージャパン』や『モデルグラフィックス』誌上で発表されたスクラッチビルド作品群は、当時のモデラーたちに決定的なパラダイムシフトをもたらしました。
その後、サンライズ制作の『機動戦士Ζガンダム』に招聘され、ラスボス機体である「PMX-003 ジ・O」や「バウンド・ドック」、初期稿として名高い「マラサイ」などのメカデザインを担当。従来の直線主体のモビルスーツ像を覆すグラマラスで重厚なフォルムは、ガンダム史における造形革命となりました。さらに『機動戦士ガンダムΖΖ』でのコンセプトデザイン提供を経て、1988年には自ら原作・監督・メカデザインを手掛けたOVA『ドラゴンズヘブン』を世に放ちます。人間と心を通わせる巨大自律型ロボット「エルム」の無骨ながらもどこか哀愁漂うシルエットは、今なおカルト的な人気を誇ります。
2000年代以降も『LAST EXILE』や『スチームボーイ』、そして『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』で副監督・メカニカルデザインを務めるなど、常に第一線でその手腕を発揮し続けています。