トイレ空間の広さを左右するもう一つの決定打が、採用する便器本体の外形寸法です。国内主要メーカーであるTOTOとLIXIL(リクシル)の寸法仕様を比較すると、タンクの有無によって奥行き寸法に顕著な差が存在することがわかります。
従来のタンク式便器(組み合わせ便器・手洗い付き)の場合、奥行きは760mm〜800mm、幅は400mm〜450mm、高さは950mm〜1,000mm程度が標準的です。これに対し、貯水タンクを排したタンクレストイレ(TOTO「ネオレスト」シリーズやLIXIL「サティス」シリーズ)は、奥行きが650mm〜720mm前後と、約10cm〜15cmもコンパクトに収まります。
この「わずか10cmの差」が、奥行き1,200mm前後の狭小空間では劇的な変化をもたらします。便器が短くなることで便器前方の空間(クリアランス)が広がり、立ち上がりの窮屈さが劇的に緩和されるためです。
ただし、タンクレストイレを導入する際には重要な注意点があります。便器本体に手洗いが付いていないため、別途手洗い器やカウンターを設ける必要が生じる点です。一般的な手洗いカウンターの出幅は約150mm〜250mmあります。空間の横幅が750mm〜800mmしかない狭いトイレに無理に手洗いカウンターを設置すると、便座に座った際に肩や腕がカウンターに干渉し、かえって圧迫感が増してしまいます。手洗いカウンターを快適に設置するには、トイレ室内の有効幅として最低でも850mm〜900mm以上を確保することが必須条件です。