都市伝説を盲信する人々が陥りやすい最大の盲点は、となりのトトロのエンディングクレジット(ED)を完全に無視している点です。
映画本編のラストカット、お母さんの病室の窓辺にトウモロコシが置かれ、サツキとメイがねこバスに乗ってクスノキの上で見守るシーンで物語が終わったかのように記憶している人が少なくありません。しかし、その後に流れるエンディング映像こそが、宮崎駿監督が描いた「物語の本当の結末」です。
エンディングでは、ねこバスに乗って無事に自宅の待つ村へ送り届けられたサツキとメイが、心配して駆け寄るカンタやおばあちゃんと抱き合う姿が描かれています。さらにその後、お母さんが無事に退院して我が家に帰郷し、家族全員で笑顔で並んでお風呂に入るシーンや、近所の子どもたちと元気に遊ぶ姉妹の姿が丹念に描写されているのです。
もし仮に「サツキとメイ 死亡説」が事実であるならば、エンディングで描かれた「お母さんの退院」や「家族との日常の再開」は一体何なのでしょうか。オカルト信奉者はこれに対しても「あれは母親の死後の世界だ」「生前の回想だ」といった強引な再解釈を重ねますが、時系列順に描かれた演出の文脈を無視した暴論に過ぎません。映画表現として、生還と再生を高らかに祝福するエンディングが存在すること自体が、死亡説を根底から打ち砕く動かぬ証拠なのです。