安全かつ確実な肺塞栓症 予防ケアを完遂するためには、看護師が「どの介入を適用し、どの状況で直ちに中止・報告すべきか」という明確な判断基準を持つ必要があります。
1. 抗凝固療法 看護の注意点と管理基準
ヘパリン類やDOAC(直接経口抗凝固薬)投与時は、血栓溶解・進展防止の効果と出血リスクが表裏一体です。血圧の急激な低下や脈拍の上昇は、後腹膜出血や消化管出血などの不可視な体内出血のシグナルである可能性があります。歯肉出血、血尿、穿刺部位の止血困難を認めた際は、凝固検査データ(APTT、PT-INR)を確認し、速やかに投与継続の可否を医師と協議します。
2. 理学的予防具の中止基準と禁忌
弾性ストッキングやIPCは万能ではなく、以下に該当する場合は装着を回避または直ちに中止します。
- 重度の末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症など):ABI(足関節上腕血圧比)が0.8未満の場合、動脈血流を阻害し虚血性壊死を招くため禁忌。
- 重度の下肢うっ血性心不全:下肢静脈血が急激に心臓へ還流することで前負荷が増大し、心不全を急性増悪させる危険性。
- 局所の活動性皮膚病変:重度皮膚炎、感染創、蜂窩織炎がある場合は装着不可。