矢柴俊博のキャリアを語る上で欠かせないのが、子どもから大人まで幅広い層に認知を広げた特撮ドラマ『手裏剣戦隊ニンニンジャー』(2015〜2016年、テレビ朝日系)での伊賀崎旋風(いがさき つむじ)役です。
主人公たちの父親でありながら「忍術が使えない」という異色の設定を、持ち前のコミカルさと温もりで好演。物語終盤で忍タリティを取り戻し、親子三代で忍者に変身する胸熱な展開は、特撮ファンの間で現在も伝説的な名シーンとして語り継がれています。現場の子役キャストたちを優しく見守る姿勢は、共演者からも「本当の父親のようだった」と深い敬愛を集めました。
一方で、日本を代表する演出家・脚本家たちを唸らせてきたのがNHK大河ドラマでの怪演です。『新選組!』(2004年)、『龍馬伝』(2010年)、『真田丸』(2016年、細川忠興役)、『麒麟がくる』(2020年)、そして『鎌倉殿の13人』(2022年)の平知康(たいらのともやす)役に至るまで、数々の歴史大作に起用されてきました。
特に『鎌倉殿の13人』で見せた後白河法皇の側近・平知康役では、今様や白拍子の舞を披露しつつ、朝廷と幕府の権力闘争の狭間で右往左往する小ずるい官人を怪演。三谷幸喜脚本特有のユーモアと歴史の無情さを見事に体現し、SNSでは放送のたびに「平知康の胡散臭さが最高」「矢柴俊博の表情筋が凄すぎる」とトレンド入りを果たしました。