週刊少年サンデー誌上で連載された全200話のフィナーレにおいて、読者が最も息をのんだのは「人間と吸血鬼が恋をしたとき、どちらかが命を落とすのか」という命題への回答でした。本作に登場した吸血鬼のルールにおいて、「吸血鬼が本当に恋をした人間の血を吸うと、その吸血鬼は死ぬ」という残酷な前例(星見キクと目代マヒルの悲劇)が示されていたためです。
ナズナはコウへの恋心を自覚したことで、彼を吸血して殺してしまう、あるいは自らが消滅してしまうリスクを恐れ、一度はコウの前から姿を消す道を選びます。しかし、コウの意志は揺らぎませんでした。
最終話で描かれたのは、別れから3年後の冬です。高校2年生へと成長したコウは、探偵のような仕事を請け負いながら、今なお夜の街でナズナを探し続けていました。そして雪が舞い散る街外れの地角で、ふたりは運命的な再会を果たします。
ナズナは「これ以上一緒にいたら、お前を吸血して殺しちまうかもしれない」と告げますが、コウは笑ってこう返します。「じゃあ、逃げてください。俺が追いかけます」。血を吸われない距離を保ちながら、捕まえたら触れ合い、また逃げる――ふたりが導き出した答えは、恋人や夫婦といった既存の言葉ではなく、「一生をかけた終わらない鬼ごっこ」という唯一無二のパートナーシップでした。
完全に吸血鬼化することも、完全に人間に戻ることも選ばず、「半吸血鬼」の資質を残したまま夜を駆けるコウと、彼から逃げ続けながら愛を確かめ合うナズナ。ビターでありながらどこまでも爽快なこのラストシーンは、連載完結時にSNSや各レビューサイトで「これ以上ない完璧な着地」と称賛を浴びました。