結論から言えば、電話や郵送、あるいは各自治体の問い合わせフォームを通じた通報は、原則として匿名で行うことが可能だ。通報者が氏名や連絡先を明かさなかったからといって、提供された情報がただちに破棄されるわけではない。むしろ行政現場では、匿名通報であっても具体的な日時や場所、不審な行動の態様が含まれていれば、重要な手がかりとして扱われる。
一方で、通報者のプライバシー保護については強固な壁が存在する。行政機関が通報者の個人情報を対象者に漏らすことは、地方公務員法上の守秘義務に抵触するため、法的にあり得ない。調査が入った際、受給者側が「近所の〇〇さんが言ったのか」と疑い深く尋ねてくるケースは多々あるが、担当者が通報元の情報を明かすことは絶対にない。ただし、あまりにピンポイントな目撃情報の場合、状況証拠から相手に通報者を推測されてしまうリスクまでを行政側が完全に排除することは難しいため、情報の提供方法には工夫が必要となる。