最大の謎であるforeignのgを発音しない理由を探るには、中世ヨーロッパの言語史に時計の針を巻き戻す必要があります。アルファベットの「g」が存在するにもかかわらず発音されない現象は「黙字(サイレントレター)」と呼ばれますが、foreignのサイレントレターは、他の単語とは決定的に異なる歴史的スキャンダルを抱えています。
foreign語源と歴史的経緯を辿ると、この単語の祖先は古代ラテン語の「foris(戸外・外へ)」および「foranus(外の・余所の)」に遡ります。これが古期フランス語で「forein」または「forain」という単語へ変化し、13世紀のノルマン征服期を経て中英語に入ってきました。特筆すべきは、初期の英語には「g」など一文字も入っていなかったという歴史的事実です。
事態が狂い始めたのは16世紀から17世紀、ルネサンス期のイギリスでした。当時の学者や写字生たちの間で「ラテン語の権威に倣って英語のスペルを格調高く修正しよう」という過剰な風潮が巻き起こります。彼らは「foreign」という語を見て、「国を治める君主(sovereign)や統治(reign)と関係があるに違いない」と勝手な憶測を立ててしまいました。
ラテン語の「regnum(統治)」に由来する「reign」には確かに「g」が含まれています。学者たちは完全に無関係だったforeinに、見栄えを良くするためだけに「g」を無理やり挿入し、「foreign」という現在の綴りへと改変してしまったのです。つまり、「もともと発音していなかった音を、後からスペルだけに足した」ため、現代の私たちが「gを発音しない」という奇妙なルールに直面することになりました。
この理不尽な歴史を知ることこそが、最も効果的なforeignスペルの覚え方につながります。「for(外へ)」に、「reign(統治)の綴り」が誤って合体した単語だと理屈で整理すれば、ライティング試験で「forien」や「forign」といったスペルミスをやらかす心配はなくなります。