球界の常識を次々と塗り替えてきた大谷翔平。彼の軌跡を記録した映像作品はこれまでにも数多く存在したが、本作は毛色がまるで異なる。真実のみが持つ重圧と感動を極限まで突き詰めた、完全なるノンフィクション作品だからだ。
試合のハイライトシーンを繋ぎ合わせた従来のスポーツドキュメンタリーとは一線を画す。カメラはスコアボードの光が届かない暗がり、スタジアムの裏通路、そして深夜のトレーニングルームへと侵入していく。言葉を発する前の沈黙や、一瞬見せる焦燥の表情。そこには、完璧なヒーロー像の裏側に隠された生の人間像が刻まれている。