副鼻腔炎や蓄膿症の市販薬を選ぶ際、葛根湯加川芎辛夷と並んで候補に挙がるのが「辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)」です。名前が似ているため混同されやすい両者ですが、薬のベクトルは「温める」か「冷ます」かで正反対に分かれます。
見極めのポイントは、鼻水の色と全身の熱感です。黄色から緑色の粘り気が強い鼻水が出て、鼻の奥が熱く焼けるように痛む場合や、乾燥して熱感がある場合には、熱を冷まして潤す辛夷清肺湯が適しています。一方、鼻の奥が詰まって重苦しいものの強烈な熱感はなく、冷えると症状が悪化するタイプには葛根湯加川芎辛夷が合致します。
また、鼻水が喉の奥へ垂れ落ちて咳払いや違和感を生む「後鼻漏」の改善や、粘膜の腫れで「匂いがしない」と感じる嗅覚障害の初期段階においても、鼻粘膜の鬱血を引かせて気道を確保する目的で葛根湯加川芎辛夷が重宝されます。ただし、嗅覚障害が長期間続いている場合は神経へのアプローチが必要になるため、早期の専門医受診が欠かせません。