宮内庁の関係者が語る皇居内の日常には、一般には知られていない過酷なまでの「祈り」の現場がある。天皇徳仁陛下が臨まれる神事は、単なる形式的な儀礼ではない。早朝からの潔斎(けっさい)に始まり、正装である束帯に身を包んで執り行われるその所作の一つひとつには、寸分の狂いも許されない極度の緊張感が伴う。
社会の構造が急激に変化し、不確実性が増す時代にあって、陛下が捧げられる祈りはますます重みを増している。側近の一人は、「陛下は国民が災害や困窮に苦しむとき、誰よりも深く心を痛められ、神前にてひたすら平穏を祈願されている」と明かす。自己の利益や感情を完全に差し引き、国家全体と世界の人々の幸せのみを願う「無私」の精神。それこそが、古来より脈々と受け継がれてきた皇室の祈りの本質であり、現代においても色褪せない真実なのだ。