『キリエのうた』小説ネタバレ結末!イッコの正体と映画の違いを徹底解剖

『キリエのうた』小説ネタバレ結末!イッコの正体と映画の違いを徹底解剖

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本作の根底に流れる最大の痛点であり、ルカの原点となっているのが東日本大震災という圧倒的な喪失体験です。小説版では、被災当時の惨状とルカの精神崩壊プロセスが、映画以上に生々しい筆致で綴られています。

ルカの姉・希は、明るく誰からも愛される少女でした。希には将来を誓い合った恋人・潮見夏彦がおり、そのお腹には新しい命が宿っていました。しかし、2011年3月11日の大津波が希の未来を無慈悲に飲み込みます。助けを求めながら流されていく姉の手を握りしめることすらできなかったルカは、強烈なサバイバーズ・ギルト(生き残ったことへの罪悪感)に苛まれることになりました。

日常の会話では声が掠れて囁き声しか出ないルカですが、感情をメロディに乗せて叫ぶときだけは、地鳴りのような圧倒的声量を放ちます。彼女にとって歌う行為は、単なる自己表現ではなく「姉の魂を自分の身体に降臨させ、失われた命へ捧げるレクイエム」に他なりませんでした。

山崎 陸
著者

山崎 陸

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