民間の一主婦となった清子様が、国家的な精神的象徴を司る伊勢神宮の祭主に選ばれた背景には、皇室と神宮の深い歴史的繋がりと、現実的な世代交代の課題がありました。
戦後の伊勢神宮祭主は、昭和天皇の第3皇女・鷹司和子(たかつかさ かずこ)様、続いて第4皇女・池田厚子(いけだ あつこ)様と、天皇家に極めて近い元内親王が代々務めてきました。しかし、1988年から祭主を務めていた池田厚子様が80代を迎えられたことで、年間数十回に及ぶ長時間の起立や過酷な移動を伴う祭儀の負担が懸念されるようになった経緯があります。
転機となったのは、2012年4月26日の臨時祭主就任でした。翌2013年に控えていた「第62回神宮式年遷宮」という20年に一度の最重要儀式を前に、高齢の池田厚子様を補佐する役割として、姪にあたる黒田清子様に白羽の矢が立ちました。当時の宮内庁関係資料および神宮側の記録によると、黒田清子 祭主 就任理由は単なる血統の近さだけではなく、内親王時代から上皇ご夫妻のお姿を最も間近で支え、宮中祭祀の所作と精神性を完璧に体得していた点が高く評価された結果でした。
その後、式年遷宮の重責を見事に果たされた実績を踏まえ、2017年6月19日付で池田厚子様が正式に退任(当時85歳)。これにより、黒田清子様が第11代伊勢神宮祭主に正式就任しました。親族間での円滑な禅譲であり、神宮の伝統を未来へ確実に継承するための必然的な人事だったといえます。