この楽曲が生まれた2006年から2007年にかけての時期、GReeeeNのメンバーたちは福島県郡山市の奥羽大学歯学部に在籍する現役の歯科大生でした。将来歯科医師として人の命や健康に向き合うという過酷な勉学の日々の中で、彼らは音楽活動を並行して進めていました。自分たちの素顔を隠してデビューした背景には、将来の医療現場に対する真摯な責任感があったことは広く知られています。
リーダーのHIDEをはじめとするメンバーの証言や当時の制作回顧録によると、『愛唄』は特別なスタジオや贅沢な機材ではなく、ごく普通のワンルームマンションの一室で誕生しました。制作のきっかけとなったのは、HIDEが当時心から大切に想っていた女性の存在でした。格好をつけず、流行の言葉で着飾ることもせず、「今、自分の胸の中にある感謝と覚悟を、そのまま一通の手紙として渡すならどう歌うか」という切実な想いが、ノートの上にペンを走らせる原動力となったのです。
歌詞に込められた真のメッセージは、「永遠を軽々しく誓うのではなく、限られた人生の時間を共に歩む決意」です。「ただ泣いて笑って過ごす日々に、君が立っていること」「それだけで僕の生きている意味になる」という告白は、将来命の現場に立つ医療従事者の卵であった彼らだからこそ実感していた、「日常の尊さ」への深い眼差しが反映されています。
2019年には、メンバーが脚本制作に自ら参加した映画『愛唄 -約束のナクヒト-』(横浜流星主演)が公開されました。「ナクヒト」とは、泣く人、すなわち「涙を流すほど全力で生きる人」を意味する造語です。この映画化に際して公式に語られた制作意図でも、「人はいつ終わるか分からない命を生きているからこそ、大切な人に今この瞬間に想いを伝える唄が必要だった」という、発表から10年以上を経ても揺るがない核心が改めて示されました。